へいまいく!

Big Band、Saxの話題や、自分が採譜したソロ譜面を公開する音楽系ブログです。

(21)"Inside the Big Band" (後編)

(前編はこちら、補足はこちら

前編ではPart 1, 2を紹介したので、後編ではPart 3を紹介しようと思います。

Part 3は38:45〜です。
ここから数分間は名言連発です。
意訳だったりまとめちゃったりしてますが、こんな感じ。

  • Big Bandでは基本的に1パート1人しか居ないから、各人がしっかり練習しないといけない。
  • 言うまでも無い事だけど、常に一定の演奏をするためにもリハには鉛筆と消しゴムを持ち込んで譜面に注意点や変更点を書き込みなさい。
  • 音の切る場所をきちんと揃えなさい。
  • アーティキュレーションダイナミクス、ブレスの位置も書きなさい(=揃えなさい)。
  • これらはリードプレイヤーが決める事だから、判らなかったらとにかくリードプレイヤーに尋ねなさい。
  • リードプレイヤーはダイナミクスを決めて、それをセクション員に伝えなさい。良いセクションでは、セクション員はリードプレイヤーがどう吹いているか良く聞いてそれに従いなさい。この意味において、リードプレイヤーはただ単に譜面を吹く以上の事をしている。
  • もしも不明確な事が有ったら、リードプレイヤーに尋ねなさい。時にはリードプレイヤーもどう吹くか悩んでいる場合もあるから、決定するためにもセクション員の意見は大事。

当たり前の事も多いのだけれども、こういう教則ビデオで改めて触れられているとなんだか身に染みますね。

43:15〜は席配置について。
ちょっと注目したいのは、「ハイハットトロンボーン隊とが横一列で並ぶようにすると、ドラマーが管を聴きやすい」とかですかね。

45:40〜は音量バランスの話。あっさり最初に音量ピラミッドの話
出て来るのにはたまげます。
「Saxセクションはソプラノリードの時はサイドは抑えめにしないと食っちゃう」、「ユニゾンの時はテナーを出し目に、アルトを控え目にすると聞こえ方が良くなる」、とかはとても参考になります。(演奏例も有り)

47:07〜はリードプレイヤーの役割について突っ込んだ話が展開されています。
(項目が箇条書きになっているスライドまで用意されています)
幾つも要素はあるのですが、その中でも曲の理解力(interpretation)が一番大事、とか一貫性(consistency, 何度やっても同じように演奏出来る)も大事だと言っています。

また、49:00〜は特にトランペットセクションのリードプレイヤーについて、「兎にも角にも高音域(ハイノート)プレイヤーに任せる事が多いけれども、ピッチ・スタイル・曲の理解力や正確性など一番バランスの良いプレイヤー(best all-round musician)にリードを任せて高音は分担したり、『どうしたらセクションがベストな聞こえ方になるか』を考えて
一番良い妥協案を探りなさい」とアドバイスしています。
(動画を見ながら辰巳さんがBlogで同じ事を仰っていたのを思い出しました。
→記事はこちら。)

その後にも「ソリストになりたければ毎日スケール練習しなさい」とか「メトロノームを使って練習しなさい」とかまぁ当たり前の事ではあるんですがきっちりと網羅してくれています。

53:17〜 The Rhythm Sectionとしてリズム隊だけが特出しされています。
こちらも量が多いので箇条書きにて。

  • メトロノームはタイムは完璧だけど、feelは作れない(良く言われる形で言い換えると『グルーブしない』でしょうか。)グルーブさせるのはリズム隊の仕事。
  • ベースの四分音符とドラムのライドシンバルはばっちり合ってないと。
  • ソロ中はドラムがソロに応じて色々オカズを入れるからタイムキープはベースの役割になる。一方でベースがTb隊とのソリで一緒に動く場合とかはドラムがタイムキープしないと。
  • 曲の中でどのセクションと一緒に演奏するかに応じてシンバルの種類を使い分けて質感を変える。例えばラッパとか高い音と一緒の時は音の高いシンバルを使う。(←これは数年前のVJOのクリニックでJohn Rileyが同じ事を言っていました。「ソリストが変わったらシンバルも変えてみろ、雰囲気変わるから。」という感じだったと思います。)
  • ダイナミクスの変化はリズムセクションに負うところが多い。リズムセクションが率先して変化を付ければ、ホーンはそれに従うだけ。タイムキープやグルーブ同様、ダイナミクスを付けるのもリズム隊の大事なお仕事。

Part 4はImprovisationについてなので殆ど丸々案内は割愛しますが、1:07:16〜アドリブに取り組む為のはじめの一歩としてスキャットで歌う事をオススメしています。
歌う事(&歌って合わせる事)についてはこのBlogでもぽつぽつ書いているので、取り敢えずこの記事を紹介しておきます。
(ここからのリンクで歌練に関する記事は全部遡れます。)

…と駆け足ですが要所要所を紹介してみました。
1時間15分となかなか長い動画なんですが、兎に角参考になるので是非見てみて下さい。本当にオススメです。