へいまいく!

Big Band、Saxの話題や、自分が採譜したソロ譜面を公開する音楽系ブログです。

アルトサックス色々と吹いてみた - Selmer編(前編)

Selmerのアルトを、現行3機種揃い踏みでちゃんと吹くのは実に久しぶりな気がします。(少なくともこのBlogを始めてからは初めて。)

一番右からReference(1本)、Serie 2(2本)、Serie 3(2本)です。

Referenceに関しては同日別の楽器屋さんでもう1本吹いているので、全モデル各2本ずつ吹いた感想になります。

1. Selmer Reference (アンティークゴールドラッカー)
定価(税抜): 530,000円

Mark 6の復刻版…みたいな扱いをされるのだけれども、端的に言うとMark 6とは全く別物です。
"Mark 6らしさを感じるか?"と聞かれたら、特に音に関しては断固として"No"です。

…という点をバッサリ切った上で見ても、モデルとしてなかなか良く出来ていると思います。
音色は若干明るめな気がしますが、比較的ニュートラルでパワーも有る。
そして独特の色気というか艶を感じます。
この「色気」はSelmer全機種に感じたのですが、Referenceが一番顕著でした。

全てのパラメータが平均以上なのに加えて、更に+αで独特の色気が有るオールラウンダーモデル、でしょうか。

気になるのは右手小指で操作するキーがあまりに小さすぎる点と、価格でしょうか。
多分人気モデルでなかなか在庫が少ない、なんて事情が有るんだと思いますが、どのお店でも値引きが割と渋めです。
(大体定価の25%引+税、一般的な値引率ですが、このモデルに関しては10%位しか引かれない、なんて具合のようです。)

右手小指のキーに関しては、別途記事をまとめます。

2. Selmer Jubilee Serie 2
定価(税抜): 500,000円

3モデルの中で一番抵抗感が強く、暗めの音色だと思います。
僕が中学・高校の頃はSelmerの現行モデルはシリーズ2しか無かったので、こういうのをしっかり吹きこなせる、というのがSelmerを手にするような中級者以上に求められる要素なんだと思っていました。

単純に「鳴らしにくい」と敬遠されてしまっては勿体無いモデルだと思います。

Mark 6が1954年から約20年に渡って作られたのに対して、シリーズ2は1986年からかれこれ25年以上作られているので、Selmerの中で生産年数は最長ですし、恐らくは製造本数的にも最多なんじゃないでしょうか。
名実共にSelmerを代表するモデルですし、価格もこの3機種の中では一番安いです。

ちなみに。
音は良いんですが、右手回りの全ての作りが大振りなので、右手首の角度も窮屈な感じになりますし、右手サイドキーも遠いし、吹いててしんどいです。
ここら辺のしんどさは以前Super Action 80(所謂シリーズ1)をメインで吹いていた頃に感じていたのと同様なので、懐かしくなりました。

3. Selmer Serie 3
定価(税抜): 590,000円

今回吹いていて最も残念だったモデル。

うーん、キーの持った感じに関しては、現行Selmerの中では一番僕の手に馴染みます。
…けれども、澄んだ明るい音色はどう考えてもフルバンやアコースティックのコンボ向けでは無い。
一応色気も感じるんですが、如何せん上品すぎます。
メタルとか個性の強いマウスピースを付けて、派手目に鳴らすと良いのかも…?とも考えたのですが、それなら何もシリーズ3を選ぶ必然性も無いと思います。
明確にクラッシック(それもブラスロックっぽいものをやるブラスバンドでは無くて、オケっぽい曲中心のブラスバンドとか、サックスアンサンブルとか)をターゲットにしたモデルのように思えます。
Jazz用途(フルバンやコンボ向け)という視点で選ぶとすれば、残念ながらこのモデルは選択肢に乗せなくて良い「選外」だと思います。

そして極めつけは価格。
定価ベースだと、3モデルの中で1番高いんですね。
Referenceよりも高い、というのには驚きました。(前からそうでしたっけ?)
Referenceの値引きが渋い関係で、販売価格はReferenceとトントンだったり、下手するとReferenceよりも安いと思いますが…。

あ、意外な事に、吹いてて「ペラい」とはあまり感じませんでした。
3モデルの中で最も抵抗感は薄いですが、それなりにしっかり踏ん張ってくれます。

…という感じでしょうか。

後編ではキーの大きさとかを取り上げてみようと思います。